ピアノの仕組みを知ろう!

1.鍵盤が動き出す時
 ピアノの鍵盤はご存知のようにシーソー状になっており、バランスキーピンを支点として鍵盤先端とキャプスタンスクリュー(ボタン)の比率がグランドピアノなら2:1、アップライトピアノは3:2の関係になっています。

アップライトピアノの鍵盤

グランドピアノの鍵盤

 従って、鍵盤が(あがき10ミリが)秒速1mで動作した時、アップライトピアノではキャプスタンボタンが秒速約1.33m動作することになり、

1(m/s) x  2/3 = 0.666...(m/s)  秒速約 67cm


グランドピアノの場合は秒速1mで動作することになります。そして、鍵盤はバランスキーピンを中心とした円運動、サポートはサポートフレンジを中心とした円運動をします。双方の円運動の接点はキャプスタンスクリューとなりますので、サポートフレンジのセンターピン・キャプスタンスクリュー・バランスキーピンは一直線上になければスムーズな運動ができません。まるで大小の歯車のような関係になります。

1(m/s) x  1/2 = 0.5(m/s)  秒速 50cm

運動距離は直線で

アップライトピアノの場合
   10o(鍵盤あがき量) X 2/3(鍵盤比率) = 6.67o(キャプスタン運動量)

グランドピアノの場合
   10o(鍵盤あがき量) X 1/2(鍵盤比率) = 5o(キャプスタン運動量)

2.ジャックが動き出す時
 キャプスタンが動き出すと、その上に乗るサポート(ウィペン)が動き出し連結されたジャックも動き出します。ジャックはローラーやバットを持ち上げ、ハンマーが動作します。

アップライトピアノ

 ウィペンフレンジセンターピンからジャック先端までの距離をとすると、ウィペンフレンジセンターピンからウィペンヒールとキャプスタンボタンが接するところまでの距離はになります。
従って、秒速約67cmでキャプスタンボタンが運動する時、ジャックは秒速約44cmで動作します。

 3:2 の関係 

  0.67(m/s) X 3/2 = 1.00(m/s)

 ジャックは運動始めると、バットフレンジセンターピンを中心軸としたバットを持ち上げます。ジャックの寸法比率はセンターピンを軸として、大ジャックと小ジャックは

アップライトピアノは    3.5:1
グランドピアノは    2:1

の関係になっています。

 運動始めたジャックは、小ジャックがレギュレティングボタンに接触してその運動を停止て脱進します。この時のバットフレンジセンターピンからジャックが接触している点に引いた直線とジャックフレンジセンターピンまで引いた直線は直角に交わっています。

グランドピアノ

 サポートフレンジセンターピンからジャックフレンジセンターピンまでの距離を3とすると、サポートフレンジセンターピンからサポートヒールとキャプスタンスクリューが接するところまでの距離は2になります。
従って、秒速0.5mでキャプスタンボタンが運動する時、ジャックは秒速0.75mで動作します。

3:2 の関係

0.5(m/s) X 3/2 = 0.75(m/s)

 ジャックはサポ−トと一緒に運動始めますが、レペティションレバーがハンマーシャンクフレンジセンターピンを中心軸としたハンマーシャンクをドロップスクリューに接触して停止するまで持ち上げます。停止後はジャックがハンマーシャンクを持ち上げます。

 ジャックはレペティションレバーがドロップスクリューによって運動を停止するのと同時に、小ジャックがレギュレティングボタンに接触して運動方向を変えます。