木の話

7.鍵盤
 鍵盤は板目のスプルースを使います。板目とは木材を年輪の外周に沿って切り取った形です。

板目の伸縮率は

aL : aR : aT = 1 : 10 : 5

 

 になります。この板目の木材をグランドは27ミリ、アップライトは24ミリの厚さで、幅は約20センチの大きさで裁断し88鍵(1225ミリ)の長さに貼り合わせます。
貼り合わせた鍵盤は、1オクターブ(165ミリ)にカットされます。1オクターブを7等分したものが白鍵です。黒鍵はその白鍵の本数に合わせてカットされます。
鍵盤の長さに対してバランスピンホールの位置を決めます。
アップライトなら2:3、グランドなら1:1の比率になる位置にバランスピンホールを決定します。

バランスピンホールから奥側は、アクション割に合わせて左右に傾斜しています。
アクション割はフレーム設計によって決定されます。

アクションを載せて、白鍵フロントキーピンの位置に約55グラムの荷重で鍵盤が水平になるように鉛を入れてバランスを取ります。

 

8.支柱
 スプルースでできている支柱の働きは、響板・フレームを支持し弦張力によるねじれ応力による反りを防ぐことです。アップライトでは4〜6本、グランドでは3〜4本使用しています。
アップライト

グランド(放射型)
赤い矢印は側板が開こうとする力がかかる方向
青い矢印は側板が開こうとする力を抑える方向
グランド(一般型)
現在のピアノはほとんどが放射型支柱を採用しています。